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           活字の代わりに音声で「読む」のがオーディオブックで、内容は同じはず ――なのですが、実際に聞くうちに、実は違う刺激を受けているということに 気づきます。 
           たとえば、読んでいたときには気づかなかった描写に、朗読を聞いていて 気づくという例があります。字を目で追っていると、案外読み飛ばしているこ とが多いということに気づかされる一瞬です。 
           逆にいえば、音声を聞き飛ばすことは難しいのですが、何かをしながら聞 くことで時間のロスを埋めていくことができます。また、本を読むことは想像 力を刺激してくれますが、朗読を聞くと、読んだときとはまた別の想像が膨 らんでいるのを感じます。 
           音にはトーンやリズムがあり、人の声ならさらに個々の微妙な表現が加わ ることや、読み手のペースにあわせて思考を進めることを強いられるため、 「頭を使」わざるを得ないのです。 人間は視覚動物といわれるほど視覚が 発達し、かつ視覚に頼った生活をしています。 
          ふだんは二次的な感覚となってしまっている聴覚を研ぎ澄ますことが、脳の 活性化を促しているのかもしれません。 
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